民法 その3−2   債権の目的

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債権の目的

〈1〉総説

人が他人に対して一定の行為を要求することを内容とする権利を「債権」といいます。

※「物権」と「債権」の違い
物権→物に対する支配権(絶対権・対世権)のことです
債権→人に対する請求権(相対権・対人権)のことです

債権は、契約自由の原則により、当事者間で自由にその内容を定めることが出来ます。
物権は、物権法定主義により、民法その他の法律で定められたもの以外には、当事者で自由に創設
      することは出来ません。(※民法上は、物権の種類は10個のみしかありません。)

債権は、請求権の一種です。
請求権には、債権の他、物権的請求権というものや、夫婦の同居請求権というものなどがあります。

債権の発生原因は「契約」が基本です。
しかし、契約以外に「事務管理」「不当利得」「不法行為」の3つが民法上定められています。

「債権の目的」という場合の「目的」とは、「手段」に対する語としての「目的」ではなく、債権の対象となるもの
という意味です。

債権は特定の人に対する請求権であり、目的は債務者の行為=給付 です。

「債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。」(民法399条)


「債権の目的」である「給付」であるためには、以下の要件を満たしていなければならません。

 @確定可能性
  債権の目的は確定しうることが必要である。

 A実現可能性
  実現が可能なものでなければならない。

 B適法性
  適法な給付でなければならない。(違法ではいけない。)


「債権」は権利であり、これに対して、履行すべき義務を「債務」といいます。

 債権 → 一定の行為を要求出来る権利
 債務 → 一定の行為を履行すべき義務

債務には
作為債務と不作為債務があり、作為債務はさらに「与える債務」「為す債務」に分かれます。

 作為債務 →与える債務(※例えば、金銭を支払ってもらう約束など)
         →為す債務 (※例えば、肖像画を描いてもらう約束など)
 不作為債務 →       (※例えば、贈与した事を口外しないという約束)




〈2〉特定物債権

特定物とは、そのものに個性があり、同種・同量のものが他にないもののことをいいます。
  ※例えば、「あの家」「この車」、など特定のもの

特定物債権とは、特定物の引渡を目的とする債権のことです。

「特定物債権」と相対する債権を「不特定債権」とか「種類債権」といいます。

「特定物債権の債務者は、その引渡をするまで善良なる管理者の注意をもってそのものを保存しなければならない」(民法400条)

『善管注意義務』 = 「引渡をするまで善良なる管理者の注意をもってそのものを保管する義務を負う」
善管注意義務とは、行為者の注意能力とは関係なく、行為者の職業・社会的地位などに応じて一般に要求される注意義務のことをいいます。

これに対し、行為者の注意能力に応じたやや軽い注意義務のことを
『自己におけると同一の注意義務』 といいます。

財産法(物権法と債権法のこと)では、原則として『善管注意義務』が課せられます。
そして、『善管注意義務』が尽くされなければ、債務不履行責任を負うことになります(民法415条)

債務者は履行遅滞(債務不履行の一種)に陥ると、不可抗力についても責任を負います。
ただし、債権者が受け取らない(受領遅滞という)場合には、故意や重過失の場合にのみ責任を負います。

「債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない」(民法483条)
かつ、それで足りるとされています。




〈3〉種類債権

種類債権とは、不特定物(一定の種類に属する物)の給付を目的とする債権のことです。

「不特定物」とは、「同種・同等のものが多数あるもの」=「種類物」と定義されています。
 ※例えば 「ビール1ダース」「大皿20枚」など

種類債権のうち、種類の範囲が限定されているものを「制限種類債権」といいます。
 ※例えば「○×酒造の△△倉庫で製造された純米酒を1升(1.8リットル)」など

 不可抗力によってある工場の倉庫とともにその倉庫内のものが滅失した時は、売主は債務を免れる
 (最高裁判例:昭和30.10.18)


品質は、通常、法律行為の性質または当事者の意思によって定める。
もし定まらない時は、中等の品質を有するものを給付しなければならない。(民法401条1項)

そして、この場合の「中等」とは、品質を5段階に区別した場合に上下2級を除いた3者のことである、
とした判例があります。

「特定物」と「不特定物(種類物)」との区別は当事者がその物の個性に注目していたか否かにより、
主観的に決定されるものです。


   特定物 → そのものが滅失すれば「履行不能」となる。
   不特定物→ その種類物がこの世の中に存在する限り「履行不能」とはならない。


◎種類債権の特定

@意義
「種類債権の特定」とは、給付すべき目的物が具体的に特定のものに定まることをいいます。
種類物には、通常「履行不能」が生じることはなく、債務者は同種のものがこの世に残存する限り
他から調達して給付する義務を負うはずである。
しかしながら、例えば、Aさんから注文されたBさんが電話して「注文の品が用意出来ました。取りに来て下さい」と伝えて直後に不可抗力でそのものが滅失した場合など、Bさん(給付すべき債務者)に給付の義務を負わすのではあまりにBさんに酷であろう。その為、債務者の責任が不当に重くなるのを軽減するために「種類債権の特定」という制度が設けられているのです。

A要件
「特定」が生じる時期については、
「債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする」(民法401条2項)
と定められています。
つまり、
(ァ)債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了した場合
    (a)持参債務の場合→債権者の住所において目的物を提供した
    (b)取立債務の場合→給付すべき物を分離して、その旨を債権者に通知したとき
    (c)送付債務の場合→第三地への履行が債務者の義務であるとき→第三地で提供がされたとき
                   第三地への履行が債務者の義務でないとき→分離・発送がされたとき
(ィ)債権の同意を得て給付すべき物を指定したとき
という場合に「種類債権の特定」がなされるのです。

B効果
種類債権の特定がなされた場合、以下の効果が生じます。
 (ァ)債務者は、特定したものを債権者に給付すべき義務を負う。
    「特定」がされた以降は、必ずその「特定」されたものを給付しなければなりません。
 (ィ)特定時からは「危険」は債権者に移転する。
    この場合の「危険」とは、その「特定」されたものが不可抗力によって滅失した場合の責任、という
    意味です。
 (ゥ)債務者は、「特定」されたものについて善管注意義務を負う。
    善管注意義務は、〈2〉で解説した「善良な管理者の注意をもって保管する義務」です。
    但し、取引通念上、他の代替物に代えうることが相当である場合は構いません。
 (ェ)特約がない限り、「特定」と同時に所有権は債権者に移転する。
    ※通常、特定物であれば、売買契約成立と同時に所有権は買主に移転します。
      そして、不特定物の場合は、「特定」がされた時に所有権が買主に移転するということです。




〈4〉金銭債権

金銭の給付を目的とする債権を金銭債権といいます。

一般に「債権者」という場合、サラ金業者の取立てを思い浮かべる人が
多いですが、その場合の「債権」が金銭債権です。
※「貸金債権」「売買代金債権」「賃料債権」「預金債権」など、
  金銭の給付を目的とするものです。


@意義
金銭とは、商品の価値尺度そのものであり、交換手段として社会に流通し、
またそれ自体が富として価値蓄蔵を図るものです。
つまり、「物」ではなく、「物」の価値を計る尺度であったり、交換価値そのもの
だったりするということです。

つまり金銭は、一定量の価値を表象する有体物であり、金銭そのものは
個性をもたない為、「特定」という観念ももちません。

よって、金銭そのものがこの世から消滅でもしない限り、金銭債権には
「履行不能」というものはありません。

※わかりやすくいうと、特定物(例えば、「この家」という場合など)は滅失すれば
履行不能となりますが、仮に貸したお金が、「滅失したから履行不能となりました」
ということはありませんよね。どの「金銭」でもいいから返せ!という事になります。


特定の金銭の引渡しを目的とする債権(封をした金銭など)については、これを
「特定金銭債権」といい、特定物債権として取り扱われます。

また、特定の種類に属する金銭の引渡しを目的とする債権(高価な古銭な記念
硬貨など)については、これを「金種債権」といい、種類債権として取り扱われます。


A金銭債務の弁済
金銭債権の債務者はいかなる種類の通貨(1万円札でも5千円札でも)で
支払ってもよいとされています。

 ※ただし、500円を10円玉100枚、ではダメということになっています。
   ↓
   「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」
   第7条
   貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。



特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたとき(たとえば、全額千円札で支払
うと定めた場合など)はその通貨で支払わなければなりません。
(民法第402条1項)
ただし、特定の種類の通貨での支払を取り決めても、弁済期(支払予定日など)に
その通貨が強制通用力を失ってしまった場合は、他の通貨で支払わなくては
なりません。(民法第402条2項)
以上のことは、外国の通貨の場合でも同様で、外貨の場合の換算率は、履行地
における為替レートが基準となります。(民法第402条3項)


B金銭債務の不履行
金銭は履行不能となりません。
そのため、債権の債務者は給付義務を免れることは出来ません。

金銭債権の損害賠償は法定利率(約定利率を定めた場合は約定利率)によって
定められ、金銭債権の債権者は損害を立証する義務を負いません。
(金銭債務の不履行の特則その1)
また、金銭債権の債務者は、不可抗力を抗弁として責任を免れることが出来ません。
(金銭債務の不履行の特則その2)




〈5〉利息債権



======   ※すみません。以下は工事中です。   ======


<5>利息債権

@意義
利息の支払を目的とする債権を利息債権といいます。

利息は、元本に対して発生する法定果実です。
利息には、以下の性質があります。
 (1)元本の存在を前提とし、元本なくして発生する事はない。
 (2)元本の収入であり、元本に応じて得られるものである。
 (3)金銭その他の代替物である。
 (4)期間に応じて計算されるものである。


















〈6〉選択債権









〈7〉任意債権













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