相続の廃除と相続欠格

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1:相続とは 2:相続手続き 3:相続財産 4:相続放棄と相続の承認
5:法定相続人 6:法定相続分 7:遺贈・死因贈与 8:特別受益と寄与分
9:相続欠格・相続廃除 10:遺留分減殺請求 11:遺産分割協議書 12:遺言書
13:遺言執行業務 14:遺産の調査・評価 15:成年後見・任意後見 16:事業承継


相続の廃除と相続欠格

相続の廃除と相続欠格|遺産相続に関する基礎知識9/16

■相続の廃除と相続欠格

相続人が、一定の事由によって相続権を喪失する場合があります。
相続権の喪失には、相続人自らの意思による「相続放棄」とは別に、法律上自動的に相続権が喪失となる「欠格(相続欠格)」と、被相続人の申請によって喪失となる「廃除(相続廃除)」という2つの制度があります。


■相続欠格

相続欠格とは、自己の相続の利益の為または不利益回避のために、殺害を企てたり、詐欺や強迫によって遺言させたりという一定の行為をした者について、その相続権を喪失させようとする制度です。

民法第891条により、以下の5つの行為を行った者が欠格者と定められています。

(1)故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ,又は至らせようとしたために,刑に処せられた者。
(2)被相続人の殺害されたことを知って,これを告発せず,又は告訴しなかった者。
ただし,その者に是非の弁別がないとき,又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは,この限りでない。
(3)詐欺又は強迫によって,被相続人が相続に関する遺言をし,撤回し,取り消し,又は変更することを妨げた者。
(4)詐欺又は強迫によって,被相続人に相続に関する遺言をさせ,撤回させ,取り消させ,又は変更させた者。
(5)相続に関する被相続人の遺言書を偽造し,変造し,破棄し,又は隠匿した者。

※以上の欠格事由に該当する者は、何等の申請をしなくても自動的に相続権を喪失し、受遺者の資格(遺贈を受ける権利)も喪失となります。
ただし、遺言書の隠匿(5)については、最高裁の判例により、自己の利益のため、あるいは不利益を逃れるために積極的に行われたものである場合に限って欠格事由となると判断がなされています。

相続欠格となるのは、欠格事由に該当した場合の当事者との関係においてのみであり、例えば父との関係で相続欠格となった者が母との関係で母の相続人となることは問題がありません。
また、相続欠格となった者のみが相続権を剥奪されるのであって、相続欠格となった者に子や孫などの直系卑属がいる場合には、その子や孫(直系卑属)が代襲相続人として相続をします。
相続放棄の場合には代襲相続が発生しないことと混同しないようにして下さい。


■相続廃除

相続廃除とは、欠格事由のように当然に相続権が剥奪されるのではなく、一定の行為があった場合に、相続される者(被相続人)の意思によって相続権を剥奪(喪失)させようとする制度です。

民法第892条により、以下の3つの行為を行った者が廃除請求の対象と定められています。

(1)被相続人に対して虐待をした者。
(2)被相続人に対して重大な侮辱を与えた者。
(3)その他著しい非行があった者。

※以上の廃除事由に該当する者については、相続される者(被相続人)の意思により、相続廃除の請求をすることが出来ます。
廃除の請求を出来る相手は推定相続人のうち、遺留分を有する推定相続人だけです。
→なぜなら、遺留分を有しない推定相続人(兄弟姉妹)は遺言するだけで相続人から除外することが出来るからです。

相続廃除には、方法が2種類あります。
一つめは家庭裁判所に「推定相続人廃除申立」という調停の申立を行う方法です。
この場合、家庭裁判所によって相続人を廃除する旨の調停や審判がなされて確定すると、その相続人は廃除されます。
二つめは遺言書に廃除したい相続人と廃除したい理由を記載する方法です。(遺言廃除といいます。)
この場合、被相続人はすでに他界していて調停や審判の申立を行うことが出来ませんから、遺言執行者が代わって家庭裁判所に審判の申立を行います。

相続廃除となるのは、廃除事由に該当した場合の当事者との関係においてのみであり、例えば父との関係で相続廃除となった者が母との関係で母の相続人となることは問題がありません。
また、相続廃除となった者のみが相続権を剥奪されるのであって、相続廃除となった者に子や孫などの直系卑属がいる場合には、その子や孫(直系卑属)が代襲相続人として相続をします。
相続放棄の場合には代襲相続が発生しないことと混同しないようにして下さい。

相続廃除は、上記のとおり、非行があれば直ちに廃除出来るというものではありません。
また、家庭裁判所は職権で調査を行うことも出来ます。被相続人(相続される者)にも非があった場合には認められないこともあります。
なお、被相続人(相続される者)は、いつでも特に理由がなくても家庭裁判所に廃除取消の申立をすることが出来ます。
※例えば廃除がなされた後に相続人が反省して態度を改めた場合などに、この制度の意義があります。




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