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刑事告訴に関する基礎知識

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刑事告訴とは


刑事告訴とは、告訴権者(犯罪の被害者やその法定代理人等)が警察官や労働基準監督署長などの司法警察職員(捜査機関)または検察官に対し、犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求める意思表示です。

刑事告発とは


刑事告発とは、犯罪の被害者や犯人でない第三者が同様に犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求める意思表示のことをいいます。
 ※提出先は、実務上は、人員を多く抱え機動力を持つ警察官(警察署)への提出が大半となります。

被害届とは


刑事告訴と似たものとして捜査機関(警察署など)へ提出する「被害届」というものがあります。
被害届とは、被害を受けた犯罪事実の申告を行う点では刑事告訴と似ていますが、犯罪者の処罰を求める意思表示までは含まれていない点が大きく異なります。
また、告訴・告発の場合と異なり、受理をしても、法的には、捜査機関は捜査をする義務を負いません。

告訴と起訴の違い


告訴とは、犯罪の被害者等が犯人の処罰を求めて犯罪事実の申告を行うことです。
一方、起訴とは、検察官が国家機関である裁判所に対し、国家権力の発動たる刑罰を求めて訴えを起こすことであり、告訴とは、その前段階である捜査や起訴を促す意思表示のことです。
元来、捜査機関は犯罪の疑いがある事実を発見した場合(例えば傷害や殺人など)、告訴などを受けなくても捜査を開始することが出来ます。
しかし、犯罪の事実が警察当局へ知られていない状態である場合、または親告罪(名誉毀損罪や過失傷害罪、強姦罪など)の場合、告訴を受けてから捜査を開始するということになるわけです。
※親告罪のうち、性犯罪以外に関しては、告訴は犯人を知ったときから原則として6ヶ月以内に行わなければなりません。
告訴された者のことを、起訴をされる前は「被疑者」といい、起訴をされた後は「被告人」といいます。

告訴状・告発状の受理


被害届は比較的容易に受理をしてもらえますが、刑事告訴・刑事告発は、現実には、なかなか受理してもらうことが大変です。
少なくとも、私的なトラブルの延長では無く、公益や治安維持に反し、「犯罪」として処罰すべき必要性のある事案であること、および、充分な証拠が揃っているかが何より重要です。
受理される前に、証拠書類の追加提出や告訴状・告発状の訂正指示だけで何度も足を運んだり、事情の説明だけで何日も時間をとられたりすることがよくあります。
また、「いきなり刑事告訴というよりは、まずは被害届として受理をしておきますよ」などと応対される場合もあります。
正直、警察署や労働基準監督署などは刑事告訴・刑事告発に積極的ではありません。
一度受理をすると一定期間に捜査等を行う義務や検察官へ書類を提出する義務を負いますし、証拠がよほど完備されていないと不十分で捜査が無駄になることも多いためであろうと思われます。
また、実際問題としては、自分の署の管轄内で事件が起きることは不名誉ですし、民事で解決出来ることであれば、わざわざ刑事事件にしないで民事で解決して欲しいようです。
実際、刑事事件とするほどの内容でないものを、示談交渉を有利に進めるための手段として利用されることも多く、示談の成立や慰謝料の支払いによって告訴が捜査途中で取り下げられることもあり、そうなれば、時間や労力が無駄に終わってしまうケースが多いのも、受理したがらない要因のひとつになっていると思われます。
よって、警察官に、告訴した後に告訴の取り下げをする予定があるとか、取り下げる可能性が高いと思われてしまえば、そもそも告訴を受理してもらえる可能性は低いと思った方が間違いありません。

告訴状・告発状の取り下げ


告訴は、起訴(公訴提起)の前であれば、いつでも取り下げることが可能です。
(刑事訴訟法 第237条1項)
告訴をおこなうと、警察が調書その他、事件の一件記録をまとめて検察庁に送付します(書類送検)。
その後、検事が起訴すべきかどうかを検討し、起訴すべきであると判断した場合には、裁判所に起訴(公訴提起)します。
この「起訴(公訴提起)」をされた後では、取り下げは出来ない、ということです。
一般に言われる「告訴の取り消し」「告訴の撤回」も、すべて「告訴の取り下げ」と意味は同じです。
告訴の取り下げを行うことが出来るのは、告訴人本人のみ(代理人によって告訴した場合は、代理人を含む)です。
一度、告訴を取り下げた場合、その後に、再度の告訴を行うことは出来ません。
(刑事訴訟法 第237条2項)

告訴状・告発状の作成に関する注意点


犯罪に対する処罰というのは、あくま国家の治安や社会的な秩序の維持を目的として、国家権力が介入して、加害者の自由や財産、名誉、生命などに対して侵害するものでありますから、極めて慎重になる必要があり、厳格に判断される必要があります。

個人的な被害の回復や損害の賠償というのは、原則として「民事」の問題であり、警察権力は、決して、一個人の被害回復のために発動されるものではありません。

その点は、刑事事件とは、きちんと分けて考えなければならないのです。

あまり感情的になって被害を訴えても、「個人的な被害=民事的なトラブル」であると判断され、かえって取り合ってもらえなくなる危険が高くなるだけですので、ご注意下さい。

同様に、告訴状に記載する罪状についても同様です。

事実経緯については、出来る限り詳細を記載した方が良いのですが、求める罪状そのものについては、膨大に列挙してしまうと、立証が難しくなってしまい、受理さえしてもらえなくなる可能性が高くなります。
そのため、証拠がきちんと完備出来るもののみに限定し、最小限に絞る必要があります。

加害者本人による自白は、重要な証拠の一つではありますが、刑事事件の場合には、自白以外の客観的証拠が無いと、有罪とすることが出来ないため、自白以外の客観的な証拠が必要となります。


刑事訴訟法 第319条
強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。


また、犯罪の場合には、成立するための「構成要件」というものが、厳格に定められています。

例えば、詐欺罪の場合について説明すると以下のとおりです。

「詐欺罪」の定義は、「人を欺いて、財物や財産の処分を行わせ、不法に利益を得ること」とされています。

詳しくいうと、被害者を騙して錯誤に陥らせ、金品の交付や財産上の利益の処分を行わせて、利益を得ることであり、最初から故意があったことが必要となりますし、騙して財物の交付をさせた、という場合に限られます。

お金を貸したのに支払わないからといって、それが刑法上の「詐欺罪」になることはありません。
返すという契約をして借り受けたのですから、原則として、単に約束通りの支払いを怠ったという、民事上の「債務不履行」責任が生じるだけなのです。

飲食店で食事を取ったあとに「食い逃げ」を思いついて、店員の目を欺いて店外へと逃走した場合も、最初の段階で「騙す意思」は無かったので、刑法上の「詐欺罪」は成立しません。
民事上の、飲食代金相当の「損害賠償」責任が生じるのみなのです。

店員を騙して目を逸らさせ、その隙に商品をだまし取った、という場合も、財物の交付をさせた訳ではないので「詐欺罪」になりません。
純粋に「窃盗罪」となります。

上記のように、一つの罪についても、厳格に判断する必要がある、ということです。




告訴状作成の代理・代行


告訴状・告発状は、個人が作成して警察署等に提出するよりは、弁護士や行政書士に依頼して作成してもらった方が受理してもらいやすい傾向にあります。
※業として刑事告訴状を作成することが出来るのは弁護士・司法書士・行政書士の3者です。
※司法書士は検察庁へ提出するものに限られ、行政書士は警察署へ提出するものに限られます。
現実には、いきなり検察庁への刑事告訴状提出という事例はほとんどなく、警察署への提出が大半であるため、司法書士が刑事告訴状作成を手掛ける事例はかなり少ないようです。
一方、行政書士は、許認可申請(風俗営業や古物営業など)など、比較的アクセスの機会は多いです。
よって、告訴状・告発状の作成は、一般的に弁護士か行政書士に依頼されることが多いようです。
検察官は、警察署等から提出された事件記録と証拠書類などを確認し、起訴するか不起訴とするかなどの処分を決定し、この処分結果を告訴人に通知することになっております。
そして告訴人は、不起訴・起訴猶予という処分の場合に不服な場合には検察審査会へ不服申立を行うことが出来ます。
この不服申立書の作成についても、業として行うことが出来るのは、弁護士・司法書士・行政書士の3者に限られています。

刑事上の裁き(処分)を求める場合、国家権力による制裁ですから、厳格な構成要件該当性が求められます。
何法の何条にどのように該当する犯罪なのか、告訴状においても正確に特定する必要があります。
量刑の判断に被害者感情は重要な要素のひとつではありますが、証拠や要件が完備されていないと告訴そのものが受理してもらえないことになります。

かといって被害を受けたのにきちんとした国家権力による処罰がなされないのでは、気持ちの上でも納得いきませんし、法治国家としての機能を果たすことも出来ません。

窃盗、暴行、傷害、詐欺、脅迫、名誉毀損、性犯罪被害、など、諦めず、泣き寝入りせず、是非、一度ご相談下さい。

もちろん、ご希望に応じて、証拠収集のための探偵事務所や、刑事告訴の代理をしてくれる弁護士の紹介なども、対応します。

東京中央法務オフィスでは、刑事事件の告訴状・告発状などの作成を承っております。
まずはお気軽にご相談下さい。

もちろん、行政書士には守秘義務がありますので、どんなことでも一切秘密は厳守します。
ご安心下さい。


告訴状作成の代理・代行




示談書の作成代理


刑事告訴した場合の取下げ、または告訴しない旨を定め、示談の金額や支払方法、告訴しない旨の誓約、その他の約束事を定める場合があります。
このような場合も、口頭のみで約束していても、約束した証拠が何も残りません。
そのため、相互に、将来的なトラブルを回避するためにも、示談書を作成しておくことをお勧めします。

東京中央法務オフィスでは、刑事事件に関わる示談書の作成を承っております。
まずはお気軽にご相談下さい。




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