本文へジャンプ
民法 その0   はじめに

TOPページ

0はじめに
1:総則
   (1)序   (2)人   (3)法人   (4)物  (5)法律行為序説 (6)意思表示 (7)代理その他 (8)期間
   (9)時効
2:物権
   (1)総則 (2)占有権 (3)所有権 (4)地上権 (5)永小作権 (6)地役権 (7)留置権 (8)先取特権 (9)質権
   (10)抵当権
3:債権
   (1)総論序    (2)債権の目的 (3)債権の効力 (4)債権の対外的効力 (5)多数当事者の債権債務 (6)債権譲渡
   (7)債権の消滅 (8)契約総論   (9)契約各論 (10)事務管理 (11)不当利得 (12)一般の不法行為
   (13)特殊の不法行為


このページでは、民法の基礎について解説をします。

民法は条文数が1046もあり、判例・学説も圧倒的に多く、学習にとても時間を取られます。
しかし、民法はすべての法律の基礎ともいえるものです。
よって、他の法律を知る上でも、資格試験の勉強をする上でも、最も重要なものといえます。

まず、民法は、抽象的で、比較的よく似た制度があちらこちらに分散されているため、さもすると、今どこをやっているのか、今何が説明されているのか、最初は訳がわからなくなってしまいがちです。
また、民法に限りませんが、専門用語が多く、日常で使う言葉と同じ文言が違う意味で使われる事も多いので、読み違えて覚えてしまうこともあります。

その為、最初は全体の構造をしっかり把握すること、用語の意味(定義)をきちんとおさえていくこと、それから似ている制度についてはその違いを比較しながらきちんと確認していく、ということが重要です。

まずは、構造から説明します。

民法は大きく分けて以下の5つの構成から成り立っています。

1総則  2物権  3債権  4親族  5相続


「総則」 は 全体に共通して適用される部分だけをまとめて規定しています。

「物権」
 は、物に対する支配権であり、所有権などの直接支配する排他的な権利のことをいいます。
  ここでは、所有権をはじめとする10個の権利とその通則について規定しています。

「債権」 は、人に対する請求権であり、賃借権などの債権者の債務者対する権利のことをいいます。
  ここでは、債権と債務の発生から消滅、種類とその効力・限界などについて規定しています。

「親族」 は、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族のことをいいます。
  婚姻や離婚、養子縁組、離縁、親権、親子などの一定の親族関係について規定しています。

「相続」
 は、人が死亡した場合に、一定の親族関係にある者が財産上の権利・義務を承継することをいいます。
  ここでは、相続の効力や種類、遺言の方式や効力について規定しています。

「物権」と「債権」とは、総称して「財産法」と呼ばれています。
「親族」と「相続」とは、総称して「家族法」又は「身分法」と呼ばれています。



民法の基本原理

民法は、以下の3つが基本原理とされています。

1:所有権絶対の原則
  資本主義により自由競争を保障された社会では、私有財産制度を保障することが不可欠です。
  所有権はあらゆる他人(国家も含めて)に対して主張出来る支配権であり、排他的ものであるという
  原則です。
  所有権とはなってますが、私有財産全般についていえることです。
  「私的財産絶対の原則」といった方が正しいかも知れません。
   ※「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利
     を有する。」 (民法206条)


2:私的自治の原則
  私人間の法律関係は、私人間で自由に決めることが出来るという原則です。
  国家権力による干渉を最小限に抑えることで、私人の財産や思想の自由を保障しようとするものです。
  この私的自治の原則により、「法律行為自由の原則」・「契約自由の原則」が当然に導き出されると
  いわれています。
  ※「法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思
    に従う。」(民法91条)


3:過失責任の原則
  何人も、自己の故意又は過失によって他人に損害を与えた場合には、当然その責任を負わなければ
  なりません。
  しかし、この場合の「過失」とは、通常の事理弁識能力を有する者であれば当然になすべきであると
  期待される注意義務を怠ることをいい、予見可能性のない損害についてまで賠償責任を負わないと
  する原則です。
  「故意」の場合に責任を負うのは当然なので「過失責任の原則」とされているのです。
  ※「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって
    生じた損害を賠償する責任を負う。」(民法709条)




民法の定義

民法は、「私法の一般法である」と定義されています。

私法とは、個人や団体などの私人間の法律関係を規律する法律のこと
をいいます。


私法→私人間の法律関係に関する法律
   (※民法、会社法、など)
   私法は、「自由・平等」を指導原理としています。

これに対置するものとして、公法というものがあります。

公法→国や地方公共団体と私人、または国や地方公共団体相互間の法律関係を規律
     する法律のことをいいます。
   (※憲法、刑法、行政法など)
   公法は、「命令・服従」を指導原理としています。

公法と私法とは相対する概念ですが、公法と私法の領域が混合しているものとして
「社会法」という概念で区分をする場合もあります。
   (※借地借家法、労働基準法、など)



一般法とは、ある特定の分野において全体に適用される一般的な条項を定めた
規律のことをいいます。


一般法 → 一般的条項を定めた法律

これに対置するものとして、特別法というものがあります。

特別法とは、ある特定の分野において、その一部分にのみ適用される特別な条項を
定めた規律のことをいいます

特別法 → 特別な条項を定めた法律


一般法と特別法は相対的な関係にあります。
たとえば、商法に対する一般法は民法であり、商人に関する事柄は、
商法ないし会社法で規定されている部分は商法ないし会社法が優先的に
適用され、商法ないし会社法に規定がされていない事柄が生じた場合には
、商慣習法が適用され、商慣習にも定めが存在しない場合において、初め
て民法が補充的に適用される、ということになります。

また、商業登記法に対する一般法は商法ないし会社法です。
商業登記に関して商業登記法に定めのある事項は商業登記法が優先して
適用され、商業登記法に定めのない事項に関しては商法ないし会社法が
補充的に適用される、ということになります。

以上のことを、法格言で「特別法は一般法に優先する」といってます。


法の適用される順序としては、もうひとつ、
「新法は旧法を破る」という法格言もあります。
新法で定められた内容と旧法で定められた内容で抵触する事項がある場合
には新法が優先して適用され、新法で定めていない事項については旧法が
適用される、ということです。

以下の3つは完全に暗記してしまって下さい。

   「民法は私法の一般法である」

   「特別法は一般法に優先する」

   「新法は旧法を破る」



私権の種類と分類

私権とは、法律で認められた私人(自然人と法人)の権利のことをいい、
公権と対置する概念です。

私権にはいくつかの種類があります。


まず、私権をその作用からみた場合、以下の4つに分類されます。

 1:支配権
   一定の有体物などに対して、直接支配することの出来る権利のことをいいます。
   他人の行為を介する必要が無く、他人の干渉に対してはこれを排除することが
   出来る権利のことです。
   「所有権」などの物権は、この支配権です。

 2:請求権
   人に対して一定の行為(作為・不作為)を請求する事の出来る権利のことをいいます。
   貸金返還請求権や代金請求権などの債権は、この請求権です。

 3:形成権
   一定の意思表示によって、それだけで法律効果を発生させる事の出来る権利のことをいいます。
   未成年者の契約取消権や債務不履行に対する契約解除権などは、この形成権です。

 4:抗弁権
   他人の請求権に対してその効力を阻止出来る権利のことをいいます。
   双務契約(売買契約など)に基づく同時履行の抗弁権や、保証人の有する催告の抗弁権、
   検索の抗弁権、などは、この抗弁権です。



次に、私権をその内容からみた場合は、以下の3つに分類されます。

 1:財産権
   経済的価値のある財産的利益を内容とする権利のことをいいます。
   物権・債権・無体財産権(知的財産ほか)などは、この財産権です。

 2:身分権
   親族法上の特定の地位に基づいて与えられている利益を内容とする権利のことをいいます。
   夫婦間の同居請求権、子の親に対する扶養請求権、離婚時の財産分与請求権などは、
   この身分権です。

 3:人格権
   人間として尊重されるべき人格的価値を内容とする権利のことをいいます。
   生命・身体・自由・名誉・貞操・氏名・肖像等、権利の主体である私人と分離することが出来ない
   権利は、この人格権です。